株を買う際の前提条件
買いタイミングのパターンを伝える前に前提となる考え方を伝えます。
前提①:短期的な値上がりを取りたいなら好地合いでパターン活用をすること
まず伝えたいのは「地合いを軽視しないこと」です。言い換えるなら「市場の状況をちゃんと考えて売買するべき」ということです。
例えば、極端な例で言うとコロナショックや関税ショック、中東情勢の悪化時期に後述するパターンを当てはめようとしても作用しづらいわけです。なぜなら、
- 市場がちょっとした材料にも反応しやすく、思わぬ値動きが入りやすい
- ゆえに、ヘッドラインニュース一発でテクニカルが通用しなくなる
からですね。また、急落相場とはいかなくても、市場に過熱感があって急激に利食い売りに傾いていそうな時期は様子見するなど・・・とにかく地合いを軽視しないことです。
あなたがその株を買いたいことなど市場には関係ありませんし、常に市場に生かされているのだと謙虚に向き合うべきです。
よくどんな状況でも365日、株を買いたくて買いたくて震えている方がいますが、様子見する時はしっかり様子見した方が良いと私は考えています。儲けることばかり考えて、資産を守ることを考えない人は多いですが、資産が増えれば増えるほど防御と攻撃のバランスは大事になってくるわけです。
市場は常に状況変化するものであり、柔軟な対応や考え方の変化が求められますが、アクセルとブレーキの使い分けを意識したいですね。
なお、長期投資目線で拾いたいものは悪地合いで拾って良いと思いますが、それでも急落相場が落ち着き始めたらがベターです。急落相場で拾うなら、底打ちっぽさが出てからでも遅くないと思います。
前提②:必ずしもピンポイントで全てを買う必要はない
初心者の内は株を買う際、一度にすべて買ってしまおうとしがちです。ただ、毎回毎回あなたが買った瞬間に上がるかどうかはわかりません。ですので、売る時もそうですが、「分割して少しずつ買い進める選択肢」も頭に入れておきましょう。
理想はピラミッディングで取得単価を下げることですが、これも必ずしもそうできるわけではないです。自分の確信度に合わせて買う量と分割度合いを考えてください。
前提③:自分が株価を見た瞬間が最適な買い場だとは限らない
これは前提②にも通じる考えですが、あなたがチャートを見た時の株価がベストな買い場で、そこからスルスル上がっていく保証などありません。ですので、よほど急いでいない限りは成行で買いを入れるのではなく、指値で買いを入れてください。
指値で買うことを意識すれば「どこで買おうか」を考えるはずなので、自然とチャートの節目や移動平均線(MA)、安値と高値の位置を見るはずです。
前提④:前場に安値を作りやすい市場特性を認識
例えば、夜にある銘柄を見つけたとします。あなたは「明日から買ってみよう」と思いますよね。場合によっては明日の朝一で買うと決めるかもしれません。
ですが、ザラ場の動きを観察すると、朝イチの下げパターンは割と多いです。その日の寄り付きから10時頃までに売買が一巡すると思うのですが、その間に安値を作って、売買一巡後に切り返す動きはよく見かけるものです。
なぜかはわかりませんが、個人投資家は仕事をしている方も多く、朝一の成行買いを入れる人が多いからかもしれませんね。大口投資家もそれを知っていて、個人が出す朝イチの成行買いを刈っているのかなと。真相は定かではありませんが、とりあえず
- 前場安値を見て指値を入れる
- 日足の節目を目安に指値を入れる
といったことがベターです。
買いタイミングのパターン
ではここから値動きの状況を
- 上昇トレンド
- 急騰
- 横ばい
- 下落トレンド
- 決算基点
に分けてタイミングや考え方をお伝えしていきます。
上昇トレンド
最初に上昇トレンドを想定した買いポイントを述べていきます。短期的な値上がり益を狙う上で最も重要なものですので、しっかり意識していきましょう。
日足の移動平均線

最もベーシックで使うことが多い買いポイントは、日足チャートの5日移動平均線(5MA)や25日移動平均線(25MA)に触ったタイミングです。例えば、上記のような5MA(赤線)に沿ってじわじわ上がるケースはイメージしやすいでしょう。
もちろん、チャートを見てもらえばわかりますが、安定した上昇トレンドでも5MAにタッチしたり、割り込むタイミングはあります。ただ、強い値動きが続いていれば、最終的に反発して高値更新になるわけです。だからこそ
5
- MA付近に指値をして待つ
- そこまでしっかり様子見する
- 分割で買うことを前提にする
などが大事になってきますよね。
- 日足5MAを割り込んだ際にしっかり底堅く耐えて切り返してくるのか観察し、強そうなら買ってみる
- 25MAまでしっかり待って深めの押し目で買う
といった具合に、ご自身の考え方に合った基本戦略をまとめておくと良いでしょう。
重要な高値抜け
続いて、水平ラインに着目した買いタイミングについて。水平ラインというのはその名前の通り、「重要な節目に着目して水平なラインを引き、そこを超えたら値動きが変わりそう」という考え方です。これは見た方が早い。

上記は、アストロスケール(186A)という上場して数年ほどの銘柄の月足チャートです。赤線は上場来高値に水平ラインを引いたもの。流れとしては「上場後に下落したが、数年かけて上場来高値に戻ってきている」ということがわかります。
仮に赤線を超えてきた場合は、「上場来高値を超えるほど上昇の勢いがある」と考え、「超えてきたら大きそうだな」と捉えます。
なぜ大きいのか?それは「今まで売らずに保有している投資家全員が含み益になるから」です。強気に傾きやすく、節目も超えるので市場からの注目度も上がります。実際に、このあと・・・

このように上昇が強まりました。これは後付けではなく、注目株トークルームでも述べていた流れです。
元々は4月11日にアストロスケールに言及。その後は上昇時に上記をアナウンス。このアナウンスの根拠が月足高値(上場来高値)です。もちろん、どんな銘柄でもOKなわけではなく、その時期に注目されているセクターの代表銘柄だったことも大きいです。今回なら米国市場で宇宙関連の人気が高まっていたことが、そもそもアストロスケールに注目した背景でした。
買いタイミングとしては
- 月足高値ブレイクの前にフライングで入る
- ブレイク直後のタイミング
- ブレイク後にブレイクラインまで下げてきたタイミング
が考えられます。個人的には、ブレイク後の押し目が最も無難かと思いますが、当然、下がらないケースもあります。なお、月足高値の水平ライン応用は・・・

こんなケースもあります。こちらは中期推奨銘柄でも挙げた日本電波工業(6779)の月足チャートです。同じく、月足高値に着目したアナウンスを出していました。
実は4月21日に月足高値をブレイクしたのですが、一度押し返されました(ブレイク押しの買いポイントではある)。
その後、再度高値を更新し始めたのでアナウンス。要は月足高値を4月に超え始めて、下げてもまた超え始めて、さらに前回高値を超えて引ければ大きいよね。こういうアナウンスです。
こういった考え方は、日足で何回も超えられていない高値を見つけてあげれば応用できます。水平ラインの考え方は応用が利くものなので覚えておくと良いでしょう。ちなみに、私は水平ラインを重視しますが、斜めに引いたトレンドラインはほぼ見ません。引き方によって個人差が出てしまいがちですし、超えても戻されるダマシパターンが多い印象です。
上髭の先端に小幅コマ

続いて、少しイレギュラーなパターンを紹介します。頻度は少ないのですが、見かけると「おっ」と思うパターンです。
それは上昇トレンド中に出た長い上髭先端に小幅なコマ(ローソク足の胴体部分と髭が短い)ものが発生する組み合わせです。この先端コマのパターンは
- 前日に大きく上がる
- その日中に売られて長い上髭を形成
- 翌日に高値に戻し、キープしたまま引け
という流れ。コマの出来高が激減していれば、翌日に上がることが多いです。正直、なぜそうなるのかはわかりません。でも、経験的にそういうケースは多いです。例としては・・・
こんなチャートがあります。上記の右から2番目、3番目で先端コマのパターンが出ています。その翌日に大きく上がりました。買いポイントはこのコマを確認したタイミングですね。
なお、先端コマの後の上昇は長く続かないケースもあります。その日中に売られてまた上髭を引くこともあるので注意してください。
急騰時
次に急騰局面。株価が急騰する時は出来高が膨らむことがほとんどですので、出来高とローソク足の落ち着きを見ることが多いです。具体的には
- 出来高:急増からなるべく激減すること
- ローソク足:できるだけ出来高激減とともに小さくなること
出来高が激減していれば、「売りたい人は売っている状況」になっている可能性が高いと思います。また、ローソク足が小さくなっているということは「値動きが落ち着いて日中のボラが小さくなっている」という可能性を考えやすいです。例としては・・・

こんな形ですね。出来高急増でギャップアップ(大きく前日終値から乖離して上昇)したあと、一番右でローソク足が縮小して出来高も激減。しかも5MAできれいに止まっています。これは割と理想的なチャート形状です。

その後はじわじわ上げて、最後はまたギャップアップしました。急騰時はこのように出来高とローソク足に着目して買いポイントを探ります。当然、出来高激減+ローソク足縮小が合図で、なるべくコマを形成する日の大引け間際で買いたいです。
ただ、注意点としては、大引け直前の5分間があります。実は、東証のルール改定によって大引け直前の5分間は板寄せ方式になってしまっています。以前は違ったのですが、このせいで終値がどこにきそうか把握しづらくなってしまったわけですね。
この5分間を闇鍋という人もいるくらいで、大引け直前はコマだったのに終わってみたら陰線に変わってた・・・なんてこともありました(苦笑)。これは正直、避けづらいリスクですので、気をつけるというよりリスクとして頭に入れておいてください。
このほか、狙う際のポイントとしては「全戻しよりなるべく高値キープの方が良い」という点があります。要するに、本当に値動きが強いもの、みんなが欲しがる株は売る人が少ないはずなので、急騰後の押し目も浅くなるよという話ですね。その上で5MAでぴったり止まればなお良いでしょう。
横ばい
では、ここからは横ばい状況における買いポイントについて述べていきます。
上昇後の日柄で横ばい
まずこれを見てください。

こちらのチャートは決算きっかけに急騰した後、黄色枠内でヨコヨコに移行しています。銘柄名は山一電機(6941)で、中期推奨銘柄や注目銘柄で追っていた銘柄です。このヨコヨコ期間はおよそ3か月。なぜでしょうか?
それは、おそらく次回決算に向けた調整だったからでしょう。決算は四半期ごと行われるので3か月間のヨコヨコとなったわけです。こういった3か月刻みの調整期間を日柄調整と呼びますが、日柄調整を挟んだ銘柄は過熱感が取り除かれていることが多いです。
また、日柄調整は「次回決算でも良い結果が出るか市場も判断しかねている」という状況だと起こりやすいと考えています。ということは、次回決算が良ければ大きく跳ねるということですよね。この銘柄も・・・

決算後に(正確には決算前からじりじり上げて)急騰となりました。長いこと作ってきたレンジ高値をブレイクしたこともポイントで、これは前述の月足高値のような「重要な節目を超えた」という考え方ですね。買いポイントとしては
- レンジ下限で買う
- 決算直前に買う
- レンジブレイクの瞬間に買う
- レンジブレイク後の押し目で買う
といったパターンがあります。最もリスクが低いのはレンジ下限。次にレンジブレイク。リスクが高いのは決算直前に買う事です。一応、ブレイク後の押し目という選択肢もありますが、長くレンジを作ってからブレイクパターンは押し目がないケースも多いと思います。やはり、おすすめはレンジ下限で指値をしておくことです。
下落トレンド
では、続いて下落トレンドについて述べていきます。といっても、基本的に値上がり狙いなら下落トレンドで買わない方が良いです。ですので、やるならこんな状況かな・・・という視点で書いていますのでご了承ください。
短期リバウンド取り
下落トレンドで短期的な値上がりを狙う場合、まず下方向に過熱感が欲しいところです。例えばですが・・・

こちらのチャートは高値6000円ほどから37.5%ほど急落。一番右で今までで一番大きな窓を開けてギャップダウン。この時、「出来高急増+ローソク足がコマに変化」となっています。
下落前半では大陰線を連発しましたが、最後には出来高が増えても日中値幅がほとんどないため売りが出きったのではと判断しやすいでしょう。このあとは・・・

このように反発が見られました。こういったパターンは割と見かけるものでして・・・

窓開けや大陰線が連発されたあと、最後に売りが出きってコマに変わるという流れを頭に入れておくと良いでしょう。買いポイントはもちろん、最後のコマを確認したタイミングです。
ただ、短期的な値上がりを下落トレンド中に狙うことは非常に難しくリスクが大きいということは改めて伝えておきます。実際には、このコマが出るまでしっかり待てる人は少ないでしょうし、このコマを買うこと自体も胆力がいる作業です。
トレンド転換
下落トレンドで短期的な値上がりを狙うことはリスクが大きい一方で、長期投資を目的にした場合は大きく下げた時に拾って年単位で大きな利益を狙うチャンスとも言えます。

例えば上記のようなチャートでは、短期リバ取りで述べたポイントを参考にギャップダウンのコマを狙う考え方が1つあります。ただ、毎回うまく大底でコマが出るわけではなく、コマが出ても下げ止まるかはわかりません。だからこそ、下落時の買いはリスクが大きい。
ですので、安全に行くなら、ある程度は下落トレンドから足を抜け出しているくらいのタイミングが良いと個人的に思います。上記のチャートのように移動平均線が収斂してきたタイミングで打診買いを始めて・・・

上昇トレンドになり始めたら少しずつ買い上がっていくと良いでしょう。買いポイントは25MA、75MA、200MAといった移動平均線を目安にします。
多くの場合、下落トレンドになっている理由がそれなりにあるはずですので、その状況も確認しつつ、株価の反発に歩幅を併せながら買い進めていく流れですね。
決算基点
最後に決算基点に買いポイントを考える方法です。ただ、これは「急騰時の買いポイント」で述べた内容がそのまま応用できます。好決算で出来高が急増しつつ
- 大陽線を引く
- ギャップアップする
といった値動きのあと、多少の押し目を挟むことは多いです。その際に出来高の減少具合やローソク足の縮小を見て入ると良いでしょう。
ただ、内容を見てあまりに好決算だった場合は割り切って買い進める戦略もあります。例えば、好決算だったからといって全ての銘柄が寄り底の大陽線になるわけではないですよね?
- ギャップアップはしたけど下ひげを引いた
- 終わってみたら大陰線で引けていた
というケースも見かけるわけです。ですので、決算の翌営業日は前場の安値を狙って買う戦略が取れます。自分が買ったポイントがその日の安値になるかはわかりませんし、翌営業日からどんどん上がるかも定かではないです。したがって、あくまで「打診買い」として決算直後のザラ場安値を狙った買いを入れます。
どうしても欲しければ、「翌営業日以降に下がったら、上昇や急騰時の買いポイントを参考に少し追加するぞ」くらいの気持ちで割り切って買いを入れてしまう戦略もありでしょう。なお、決算急騰後も「なるべく窓を埋めない」、「大きく下がらない」という流れの方が需要が大きいと判断しやすいですね。
好決算だったのにコンセンサス未達で下げた場合
ちなみに、好決算でも下げることは普通にあります。そういった場合は、内容や理由にもよりますが、下落が落ち着いた段階で拾って良いと考えています。

例えば、上記のチャートは黄色枠内でギャップアップを繰り返したあと、ギャップダウンとなっていますよね。実はこれ決算前後の動きです。内容としては経常益が前年同期比で47%増という結果だったのですが、コンセンサス未達でギャップダウンしました。
普通に考えたら大幅増益なので上がっても良さそうなものですが、コンセンサス未達で急落に。こういうケースは決算後の値動きが落ち着いたら拾って良いと思います。
落ち着いたかどうかの判断は、やはりローソク足と出来高ですね。上記もよく見ると切り返す直前に出来高減少の小さな下ひげ陽線が出ています。このように、ある程度の売りが出きったタイミングで入るとリスクを”なるべく”抑えつつリバ取りがしやすいはずです。
なお、好決算で下落するものは、「そもそも決算前に上がり過ぎていた」というケースも多いでしょう。市場が期待するということは事前に買いが入るということですから、前回決算から(つまり3ヶ月)上がり続けたものは要注意です。
期待値が大きいほどコンセンサスで下げることも想定されます。その場合は、
- あらかじめ保有しているなら事前にポジション調整しておく
- 保有していなければ決算後の反応を見て買う
などの対策が必要ですね。
以上、買いポイントについてまとめました。

